
ーこの疑問にお答えします。
本記事の内容
- ヒルドイドって何?効果と副作用について
- ヒルドイドの種類について
- なぜヒルドイドが人気になったのか
- ヒルドイドに配合されてるヘパリン類似物質の美容効果
- 美容目的ならヒルドイドは市販で買いましょう
この記事を書いている私は、美容クリニックカウンセラーの経歴をもっています。幼少の頃よりアトピーを持っており、過去、そして今でもヒルドイドにはお世話になっています。
そんな私がヒルドイドの美容効果について実体験を元に解説します。
結論を先に言うと、保湿の効果はかなりあります。
しかし、ヒルドイドは処方箋。美容目的での処方はダメです!
こういうずるい方が多い事によって、一時期処方制限が検討されました。本当にヒルドイドが必要な方へ迷惑がかかりますから、美容目的で処方してもらおうという考えはやめてください。
目次
ヒルドイドって何?効果と副作用について
「ヒルドイド」というのは、外用薬を専門とする製薬会社、株式会社マルホが製造販売する医薬品。「ヘパリン類似物質」を薬効成分としており、抗炎症、血行促進、皮膚保湿剤として処方されます。
ヘパリンとは
人間の体内に存在するムコ多糖類の一種のこと。
水分を蓄える働きがあり、肌の潤いを保持して乾燥を防ぎます。また、血行促進効果によって血栓を予防する働きもあります。
ヒルドイドにはヘパリンそのものが配合されているのではなく、「類似」という言葉の通り、ヘパリンと似た働きをする物質「ヘパリン類似物質」が配合されています。これはブタの気管軟骨を含む肺臓から抽出されて作られています。
ヒルドイドの効果
ヒルドイドには下記の効果があります。
ヒルドイドの効果
- 保湿作用:乾燥肌、皮脂欠乏症の改善
- 血行促進作用:凍傷、ケロイド、瘢痕の改善
- 抗炎症作用:しもやけ、捻挫へのおだやかな鎮痛作用
皮膚科ではよく保湿剤として処方されることが多く、アトピー性皮膚炎、乾皮症の方は馴染み深い外用薬なのではないでしょうか。
実際に私は過去、以下の症状でヒルドイドを処方されました。
- アトピー性皮膚炎による肌の乾燥
- ニキビ治療にあたってディフェリンゲルの副作用の緩和
- 脇の多汗症手術によるケロイド治療
特に保湿作用には優れており、アトピーによる乾燥肌が潤い、物理的刺激に強い肌になったのを実感しています。
ヒルドイドの副作用
ヒルドイドは処方薬ですから、何かしらの副作用は持っています。
主な副作用として、皮膚炎、かゆみ、発赤、発疹、潮紅、皮膚刺激感、紫斑などが報告されています。
ヒルドイドクリーム0.3%の副作用
総投与症例2,471例中、23例(0.93%)に副作用が認められ、主なものは皮膚炎9件(0.36%)、そう痒8件(0.32%)、発赤5件(0.20%)、発疹4件(0.16%)、潮紅3件(0.12%)等であった(効能追加時)。
出典:日経メディカル
実際に私も副作用が出たことがあります。
顔が赤くなることが多いですね。これは血行促進作用によるものだと思います。なので、顔全体に塗ることはなく、乾燥している部分にのみ使うようにしています。
ヒルドイドの種類について
画像引用元:マルホ
ヒルドイドには形状によりいくつか種類があり、好みのテクスチャーや使用目的で使い分ける事ができます。
また、同じヘパリン類似物質配合のジェネリックも存在しています。
- 形状:ソフト軟膏、ローション、ゲル、クリーム、フォーム
- ジェネリック:日医工、ニプロ、ニットー、テイコク、アメル、ラクールetc
色々あってややこしいのですが、よく処方されるのは、ヒルドイドのソフト軟膏、ローション、ジェネリックのビーソフテンローションですね。

ヒルドイドソフト軟膏

ヒルドイドローション

ビーソフテンローション
私の場合、範囲の広い四肢にはビーソフテンローション。
顔の乾燥部分にはヒルドイドソフト軟膏っと使い分けています。
なぜヒルドイドが人気になったのか
ヒルドイドはアトピー患者など、処方経験のある人位しか知らなかった外用薬ですが、SNSにより、美容に興味のある多くの方に関心が集まることになりました。
インスタやツイッターを見ると、
- ヒルドイドでシワが改善された!
- 乾燥肌には絶対にこれ!
- 高い化粧品よりも効果がある!
- ヒルドイドで肌がきれいになった!
といった具合に紹介されており、医薬品だから通常の化粧品よりも効果があるっという効果への期待度と、処方してもらう事で安価に買える、という事で人気が広がっていきました。

結果、多くの方が美容目的で使うために皮膚科に行き、無駄に処方してもらうケースが増えていき、その現象は医療費をめぐって社会問題を招いてしまいました。
ヒルドイドに配合されてるヘパリン類似物質の美容効果
では実際にヒルドイドには美容効果を期待できるのでしょうか。
よく処方されるヒルドイドローションを例にとり、その点を深堀りします。
- 成分構成から考察
- 美容目的なら普通の化粧品で十分
- 医薬品だから良いという誤解
成分構成から考察
ヒルドイドローションの成分は下記の通り。
ヒルドイドローション0.3%配合成分
ヘパリン類似物質、グリセリン、白色ワセリン、スクワラン、セタノール、還元ラノリン、セトマクロゴール1000、モノステアリン酸グリセリン、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、カルボキシビニルポリマー、ジイソプロパノールアミン
これを見る限り、保湿効果、血行促進作用のあるヘパリン類似物質以外、美容成分は一切入っていないことが分かります。
グリセリン、スクワラン、白色ワセリンなどはよく化粧品に配合されている一般的な原料ですし、こちらも保湿材としての効果のみです。
ヒルドイドには、シミを薄くする美白成分、シワを改善するレチノール、その他の美容成分は入っていませんので、美容目的としては、ただの保湿剤という位置づけになります。
ヒルドイド=ただの保湿剤
乾燥肌にはしっかりと効果を発揮しますが、それだけの事です。
美容目的なら普通の化粧品で十分
保湿効果は他の化粧品にも備わっています。何もヘパリン類似物質にこだわる必要は無いかと。
また、化粧品の方があらゆる美容成分が含まれているので、総合的に美容効果を狙いたいのなら、保湿効果だけのヒルドイドを使う必要はないと思います。
また、ヒルドイドは外用薬。テクスチャーや使用感においてあまり快適性を求めて作られていません。
実際にヒルドイドを使うと分かるのですが、いつまでもベタつくし、肌なじみが悪くて服にベタっとついたりして使いにくいのです。
私なら美容目的としてヒルドイドを選ぶことはしませんね。
医薬品だから良いという誤解
「医薬品」、「ドクターズコスメ」、「医師が監修」…といったワードが製品につくことで他のアイテムよりも効きそうっと思い込んでしまう傾向がありますが、ヒルドイドもその一つと言えましょう。
そして「医療用」と聞くと、肌に優しく、どんな肌でも使えるっと思い込んでしまう事も、ヒルドイド人気の原因でもあります。
確かにアトピー肌や乾皮症に使われている位なので肌に優しそうなイメージがありますが、実はヒルドイドには旧表示指定成分が含まれており、特に敏感肌の方が避けたがっている防腐剤もヒルドイドには入っているのです。
もう一度上記の成分を見てください。
「パラオキシ安息香酸エチル」、パラオキシ安息香酸プロピル」という成分がありますよね。これは防腐剤であるパラベンのことです。医薬品であってもちゃんと添加物は入っているのです。
- 防腐剤が入っていると肌によくないからヒルドイド使ってる
- ヒルドイドは通常の化粧品よりも優しいから安心
という理由で使っているは間違っていますよ。
そもそもどんなナチュラルな化粧品であっても合う合わないは必ずありますから、100%全員にヒルドイドが合うわけではありません。
美容目的ならヒルドイドは市販で買いましょう
とはいえ、ヒルドイドの保湿効果は素晴らしいです。
乾燥肌がなかなか治らない方は、是非ヘパリン類似物質配合の製品を使ってみるといいでしょう。
今ではドラッグストアでもヘパリン類似物質配合のスキンケアが売られていますので、美容目的で使う場合は、皮膚科で処方してもらうのではなく、ドラッグストア等で買いましょう。皮膚の薬コーナーで色々売っていましたよ。
ヘパリン類似物質配合の市販薬
得におすすめなのが「カルテヒルドイド」。
これはコーセーとヒルドイドの会社であるマルホの共同開発した医薬部外品です。
ヘパリン類似物質を主体に、グリチルリチン酸2K、アミノ酸、セラミド類似成分が入っています。また、テクスチャーにもこだわって作られているので、処方箋のヒルドイドよりも日常的に使いやすくなっています。
このカルテヒルドイドの誕生が、ヒルドイドにまつわる社会問題の終止符を打つアイテムとして一役を担っています。
まとめ:ヒルドイドの美容効果
ヒルドイドには美容効果がありますが、それは保湿としての効果のみ。
美容目的を狙うなら、たくさんの美容成分が入った化粧品で十分でしょう。
どうしてもヘパリン類似物質を使いたいのなら、今では薬局でも購入が可能なので、そちらで買いましょう。
安易に皮膚科で処方してもらう事は、本当にヒルドイドを必要としている方に迷惑がかかるし、保険料の問題もありますから絶対やめて下さい。
ー今日は以上です。