
ニキビの外用薬と言えば「過酸化ベンゾイル」や「アダパレン」が有名ですが、ここ最近「アゼライン酸」という成分も注目されるようになりました。SNSなどで一度は目にした事があるのではないでしょうか。
ニキビだけではなく皮脂過多、毛穴詰まり、詰まりによる黒い毛穴にも効果的でして、実際に職場では毛穴トラブルに悩む患者に処方したところ多くの方が毛穴への効果を実感されており、おかげでハイドラフェイシャルのような毛穴洗浄系の処置を受ける人が減りました。
ハイドラ等の毛穴洗浄はイベント前のメイクのり良くする分には良いけど日頃から毛穴詰まらせない自己ケアが一番大事だと思う。VA系(レチとか),アゼライン酸の塗布、素っぴんの日が続いてもたまにはオイルクレンジング等。私はこれでハイドラ不要になったし、特にアゼライン酸処方でハイドラ患者減った
— ちゅる美@元美容外科CS現裏方 (@tyurumi3) January 3, 2022
ハイドラ等の毛穴洗浄はイベント前のメイクのり良くする分には良いけど日頃から毛穴詰まらせない自己ケアが一番大事だと思う。VA系(レチとか),アゼライン酸の塗布、素っぴんの日が続いてもたまにはオイルクレンジング等。私はこれでハイドラ不要になったし、特にアゼライン酸処方でハイドラ患者減った
私自身、ニキビだけではなく毛穴への効果を実感しています。
このアゼライン酸の効果について簡潔に説明すると共に製品一覧をのせましたので参考にして下さい。
注意
・この記事はステマ、PRではありませんが、一部に楽天等のアフィリエイトリンク貼っています。
・SNS等でよく知られている物を中心にただまとめたものであり、ここに記載しているもの全てを使った訳ではありません。
・人それぞれ肌質が違う為、お勧め商品を聞かれてもお答えできかねます。
・自身の経験則に基づいた内容です。
・iHerbコードは【AMR2134】です。適宜ご利用下さい。
アゼライン酸とは
アゼライン酸とは、ライ麦や小麦といった穀物に含まれている酸でして普段口から摂取している食品に含まれている成分です。
海外では昔からニキビ治療の医薬品として30年も前から使用されています。
効果
アゼライン酸の持つ効果は下記の通り。
- 皮脂分泌抑制
- ニキビ菌の増殖抑制
- 抗炎症
- メラニン抑制
- 抗角化作用
ニキビ、ニキビ跡(色素沈着)、酒さ、脂漏性皮膚炎などに効果があるとされています。
アゼライン酸は痤瘡に対して 20%製剤が使用され,毛漏斗の角化異常,皮脂の分泌亢進,抗菌作用,抗炎症作用など幅広い作用を示す。…臨床試験で面皰、炎症性皮疹の両者に対する有効性が確認されている。
引用元:日本香粧品学会誌「ニキビの発症メカニズム,治療,予防」
副作用
普段日常的に摂取している成分なだけに重篤な副作用は報告されていませんが、塗った時にピリピリとした刺激や痒みを感じる方がいるそうです。
これは酸によるためと思われますが、アゼライン酸の酸はピーリングに用いられているフルーツ酸、サリチル酸、乳酸と比較すると大変弱くなっています。
また、皮脂分泌を抑制するので肌の乾燥を招く事があります。
医薬品ではない
アゼライン酸は海外では医薬品としてニキビ治療に用いられていますが、日本では未承認となっています。
保険適用外ではありますが、日本皮膚科学会ではニキビ治療として推奨しています(推奨度はC1ですが)。

引用元:日本皮膚科学会
【C1 とは】
推奨度分類(A、A※、B、C1、C2、D)の1つ。
選択肢の一つとして推奨する(質の劣る III~IV,良質な複数の V,あるいは委員会が認める VI のエビデンスがある)
本邦でも 20%アゼライン酸含有の低刺激性の製剤が開発され、RCT で有効性と安全性が確認されている。海外では治療ガイドラインのセカンドラインとして推奨されているが、まだ本邦での報告は限られている。本邦では化粧品の含有成分の一つであり、医薬品としては未承認である。
引用元:日本皮膚科学会「尋常性痤瘡治療ガイドライン 2016」
未承認の為医薬品は現在存在していませんが、医療機関専売品としてロート製薬の「DRX AZAクリーム ¥1,800(税抜)」が現在一部の病院で取り扱われています。

引用元:DRX
- アダパレンや過酸化ベンゾイルでは刺激が強すぎて使えない
- 妊娠中、授乳中でアダパレンやその他の薬が使えない※
という方に、ニキビ治療薬の次の選択肢としてお勧めされています。また、他にも酒さ、脂漏性皮膚炎の治療としても用いられています。
※過酸化ベンゾイル配合のベピオゲルの場合、妊婦又は妊娠している可能性のある人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用する事とされています。しかし妊娠中の投与に関する安全性は確立されていません。
妊娠中でも使える
先述したように、アゼライン酸は催奇形性がない為、妊娠の可能性のある方、授乳中の方でも使える成分です。
妊娠中はホルモンバランスの関係でニキビや吹き出物が出る場合があります。その際に使用できるというのが嬉しい特徴と言えるのではないでしょうか。
アゼライン酸 製品一覧
日本国内で購入できるアゼライン酸配合の製品は医療機関専売品のロート製薬だけではありません。海外医薬品、一部の化粧品ブランドからも発売されている為わざわざ病院に行かなくても購入可能です。
また、保険の効かない自費のニキビ治療薬としてのイメージが強いですが、皮脂過多や毛穴詰まりの改善といった美容目的としても普通の化粧品と同じように使用が可能です。
SNSでリサーチしてみた結果、「シェルシュール」、「ジオーディナリー」、「トゥヴェール」を使っている方が多い印象ですね。
アゼライン酸は15~20%の濃度が効果があると報告されています。しかし人によっては乾燥を招く事がありますので、心配な人は低い濃度(10%位)から使用すると良いかと思います。
個人的にはニキビ目的なら15%以上がよく効いてくれましたが、毛穴程度ならそれより低くても効果の実感がありました。
※アゼライン酸誘導体(アゼロイルジグリシンK)というのもありまして、この場合の濃度は上記とは異なります。
ネットで買えるアゼライン酸の海外医薬品、化粧品等をいくつかピックアップしましたので下記参考にして下さい。
現在アゼライン酸配合のものはまだまだ少ない印象です。
アゼライン酸(個人輸入代行)
※ 濃度はアゼライン酸濃度のこと
※ 効果があると報告されている濃度は15-20%程度
※ 海外医薬品の個人輸入は特有のリスクがあります
製品 | 製品名/値段(税込) | 濃度 | その他 |
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【AzacCream】 約¥1400 |
20% | |
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【SkinorenCream】 約¥2500 |
1g中0.2g | |
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【EzanicCream】 約¥1350 |
10% | SkinorenCreamの ジェネリック |
![]() |
【EzanicCream】 約¥1400 |
20% | SkinorenCreamの ジェネリック |
アゼライン酸orアゼライン酸誘導体
※ 濃度はアゼライン酸 or アゼライン酸誘導体(アゼロイルジグリシンK)の濃度のこと
※ 効果があると報告されているアゼライン酸濃度は15-20%程度
※「Cos De BAHA」は他にも様々な種類があります
※1 シクロデキストリンで水に溶けるように工夫されたもの
製品 | 製品名/値段(税込) | 濃度 | 成分 |
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【ロート製薬】 DRX AZAクリア ¥1980 ※病院で買える |
20% | アゼライン酸 |
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【The Ordinary】 Azelaic Acid Suspension $10.00 |
10% | アゼライン酸 (英語難しい為 不確かな部分有) |
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【シェルシュール】 アドバンスト エッセンスAZ ¥5830 |
? | アゼライン酸※1 天然保湿因子 ヒアルロン酸 リピジュア |
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【Cos De BAHA】 Azelaic Acid 10 Serum 約¥1200 |
10% | アゼライン酸 ヒアルロン酸 ナイアシンアミド (英語難しい為 不確かな部分有) |
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【ETVOS】 バランシング VCクリアスポッツ ¥2750 |
? | アゼロイルジグリシンK 安定型VC誘導体 グリチルリチン酸2K セラミド |
![]() |
【TOUT VERT】 バランシング GAローション ¥1870 |
2% | アゼロイルジグリシンK グリシルグリシン6% アロエベラ葉エキス グリチルリチン酸2K |
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【Azelique】 エイジングケア ナイトクリーム 約¥2300 |
? | アゼロイルジグリシンK グリコール酸 ビタミンA,C,E CoQ10 |
さいごに
私の場合、アゼライン酸はこれまでのニキビ処方箋に比べ刺激感なく使えたのでその点がとても良かったです。
効果としてはそこそこ満足いくものの、出来ているニキビに対しては処方箋よりマイルドなのでニキビ治療薬の第一選択としてはないかなぁという印象ですね。
しかし日々のスキンケアに取り入れる事で毛穴の詰まりとそれによる黒ずみがかなり減り、結果として毛穴が目立ちにくくなりましたから毛穴洗浄系の美容医療から卒業する事が出来ました。
毛穴詰まり、毛穴の開きに良いとされる美容医療はいくつかありますがどれも費用対効果が低く、また一時的な効果である事が多いです。日々のコツコツスキンケアで毛穴が詰まらない仕組みを作る事が一番であると私は職場の知見から学びました。
ー以上です。
iHerbコードは【AMR2134】です。適宜ご利用下さい。
参考文献
・日本香粧品学会誌『ニキビの発症メカニズム、治療、予防』(最終閲覧日:2021年2月11日)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/koshohin/40/1/40_12/_pdf
・日本皮膚科学会『尋常性痤瘡治療ガイドライン 2016』(最終閲覧日:2021年2月11日)
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/acne%20guideline.pdf#search=%27日本皮膚科学会+にきび+ガイドライン%27