ワキガ・多汗症

エクロックゲル(多汗症治療薬)とパースピレックスの違いと比較

2022年2月19日

エクロックゲル(多汗症治療薬)とパースピレックスの違いと比較

 

ちゅる美
元ワキガで手術済みのちゅる美です。

 

2020年11月下旬、原発性腋窩多汗症治療剤「エクロックゲル」が発売されました。脇の多汗症で悩まれている方には朗報ですね。

今までの多汗症治療は、

・保険適用だと手術、ボトックス注射、内服薬
・自費処方だと塩化アルミニウム溶液の処方(パースピレックス、デトランスαも含む)

などで対応されてきましたが「エクロックゲル」は保険適用で安価に治療(対処療法ですが)できるようになり多汗症治療の幅が広がりました。

エクロックゲルは一体どういう物なのか、そしてよく自費処方されてきた塩化アルミニウム溶液(パースピレックス、デトランスα)と何が違うのか、分かりやすくまとめたので参考にしてください。

※2022年に新しく保険適応のラピフォートワイプという拭き取りタイプの外用薬が承認されました。記事執筆時点の今はまだ取り扱いがなく詳細がまだ分かっていませんのでこれについては省きます。

 

注意

・ステマ、PR等ではありません。

 

 

エクロックゲルとは

エクロックゲルは2020年11月末に発売された原発性腋窩多汗症の為の日本初の保険適用の外用薬です。科研製薬株式会社より発売されています。

 

エクロックゲル

 

作用機序

エクロックゲルは多汗症の原因となっているエクリン汗腺の働きを抑えることで多汗症にアプローチする外用薬。

交感神経から汗を出せという指令を受け取る受容体をブロックすることで汗が出るのを防ぐ抗コリン剤です。

 

アセチルコリンはムスカリン受容体と結合することにより、汗腺から発汗を誘発すると考えられており、本剤は多汗症の原因となるエクリン汗腺のムスカリン受容体と結合することでアセチルコリンの結合を阻害し、発汗を抑制します。

引用元:科研製薬株式会社

 

薬価

エクロックゲルの薬価は20gだと¥4,874、保険適用で3割負担だと¥1,462になります。

1本で2週間分20g。発売から1年以上経過したので今では処方制限が解除され1回の診療で複数本処方が可能になり、また倍サイズの40gも新たに発売されました。

薬の費用に加えて診療代もかかる為実際に処方してもらうとなると更に費用はかさみ、だいたい1回の診療で¥2,500~程になると考えられます。

 

副作用

エクロックゲルの副作用は皮膚炎、紅斑、そう痒感、湿疹などが報告されています。従来の塩化アルミニウム溶液と同じような副作用ですね。

また、塗布部位に傷や湿疹などの肌荒れを起こしている場合、抗コリン作用によって散瞳、口渇等の症状が出る場合があるそうです。

特に重大な副作用は今の所無いそうですが一応妊婦や授乳中の方、前立腺肥大による排尿障害の方は使用不可となっています。

 

ちゅる美
新しい薬なだけに今後の報告も気になるところです。

 

 

処方基準が厳しいのが難点

多汗症患者にしてみれば今回のエクロックゲルの発売は朗報ではないでしょうか。

当然ながら処方箋ですので基準を満たしていなければ処方されません。医薬品というのは医師が必要と診断しない限り処方できませんから当たり前の事です。

しかしこれが結構厳しいらしく、簡単に手に入れるのは難しいかもしれません。

 

エクロックゲルの適応が「原発性腋窩多汗症」と定められている為その診断基準と重症度を満たさないといけないのですが、その基準は下記の通り。

 

原発性腋窩多汗症の診断基準と重症度判定

過剰な発汗が原因不明のまま6カ月以上認められること。

以下のうち2項目以上あてはまる事。

 

  • 発症が25歳以下である
  • 左右対称性に発汗がみられる
  • 睡眠中は発汗が止まっている
  • 1週間に1回以上の多汗のエピソードがある
  • 家族歴がみられる
  • 多汗によって日常生活に支障をきたす

 

更に、原発性腋窩多汗症の病名が確定された後、重症度判定の尺度であるHDSS(Hyperhidrosis Disease Severity Scale) によって下記の1~4に分類され、医師が診療報酬明細書の摘要欄に記載する必要があります。最低でも3.4が必要とされている為、この内3または4に当てはまる方が対象となります。

レベル 発汗度合い 日常生活
1 全く気にならない 全く支障ない
2 我慢はできる 時々支障がある
3 ほとんど我慢できない 頻繁に支障がある
4 我慢できない 常に支障がある

 

なかなか処方されるハードルが高いですね。これらの基準に当てはまらない軽症の方は塩化アルミニウム溶液やボトックス注射などを従来通り用いる事となります。

商魂たくましく診療しているクリニックなら診断基準満たしてなくてもホイホイと処方しそうな気はします。保湿剤でお馴染みのヒルドイド軟膏みたいにならないことを祈ります。

 

エクロックゲル(脇汗の処方箋)とパースピレックスの違いと比較

引用元:エクロックゲル5%

エクロックゲル(脇汗の処方箋)とパースピレックスの違いと比較

引用元:エクロックゲル5%

エクロックゲル(脇汗の処方箋)とパースピレックスの違いと比較

引用元:エクロックゲル5%

 

原発性腋窩多汗症については「原発性局所多汗症診療ガイドライン」にて詳しく説明されているので合わせて読んでみて下さい。

 

 

エクロックゲルとパースピレックスの違いと比較

エクロックゲルとデトランスα、パースピレックス

パースピレックス

 

エクロックゲルは従来用いられてきた塩化アルミニウム溶液(パースピレックス、デトランスα)とは全く違う作用機序で働きかけますので効果や持続期間なども異なります

保険適用の方が効果がありそうと思いきやそうじゃない事もありますので、実際にどっちを使ったらいいのか迷いも出てきます。

そこで、それぞれの違いを分かりやすくまとめてみました。

ちなみに私は塩化アルミニウム溶液(パースピレックス)しか使った事がありませんのでエクロックゲルの使用感や効果については不明です。しかし実際に主人や職場の患者さんが使っていますのでその感想を引用する事で違いをまとめてみました。ここで比較対象とする塩化アルミニウム溶液は美容クリニックで実際に取り扱っているパースピレックスを対象としました。

勿論効果の実感には個人差があります。

 

製品名 適応症 有効成分 効果の持続期間 効果の強さ 費用
エクロックゲル 多汗症(脇のみ) ソフピロニウム臭化物 1日 ¥2500~/20gだと2週間分
パースピレックス 多汗症(脇、手足)、わきが 塩化アルミニウム 約3~5日 ¥2,000~¥4,500/2..3か月は持つ

 

以下、それぞれ解説します。

 

適応症

エクロックゲルは脇の多汗症に対して用いられます。

脇に効果があるなら手足にも使えそうと思いきや、脇以外の他の個所には使えません。データで有意な効果が得られなかったそうです。

恐らく脇と手足の皮膚の厚さや吸収率の違いによって効果がないのではないかっと私は思います。また、汗が出るエクリン汗腺のみに働くので、アポクリン汗腺が原因のワキガには効果がありません。とはいえ汗を止める事で臭いも一緒に減ると考えられます。

 

一方でパースピレックスは脇、足、手の多汗症に効果があり、わきがの臭いも強力に防ぐことが出来ます。

これはそれぞれの有効成分の違いと作用機序の違いによる為だと考えられます。

 

効果の強さ

塩化アルミニウム溶液であるパースピレックスの効果は言わずもがな、超強力です。

私も元ワキガだった頃使っていましたが、ピタッと怖い位汗が止まりワキガ臭も怖いぐらい抑えられました。

 

エクロックゲルについては主人・患者さんによると、別に悪くはないんだけどパースピレックスに比べると効果が低い、とよく言われます。ある女医さんのブログにはパースピレックスの方が効果が高いと書かれていました。

 

私が塗ってみた感じではパースピレックスのほうが効果が高いような気がしますがいまのところ塩化アルミニウム製剤との比較のデーターはないようです。

引用元:聖心美容クリニック

 

費用、コスパ

費用についてですが、エクロックゲルは保険適用という事もあり値段が安い印象がありますよね。

しかし薬代に加えて診療代もかかりますから、結局月に¥4,000~¥5,000程かかると見込まれます。

一方自費のパースピレックスは購入場所によって¥2,000~で購入可能です。1回塗布すると3~5日効果が持続するので1本で3か月は余裕に持ちますから、月に¥1,000程のコストで済むかと思います(エクロックゲルは1日1回の塗布)。

 

以上を踏まえるとパースピレックスの方がコスパが良いのではないでしょうか。

 

 

私ならパースピレックス(デトランスα)を選ぶ

現段階での調査によりエクロックゲルとパースピレックスを比較すると、適応症状や範囲、コスト、効果においてパースピレックスの方に軍配が上がりますね。

というわけで元ワキガの私は後者を間違いなく選択するでしょう。

 

デトランスα(パースピレックス)を顔汗に使ってみた

 

 

まとめ

今まで多汗症治療の外用薬が保険適用の処方箋で存在してなかったので今回のエクロックゲルの発売は衝撃でした。

また、2022年からは新しくラピフォートワイプという保険適用の新薬も登場しました。脇の多汗症に悩む方にとって治療の選択肢が広がったことは本当に素晴らしい事です。

 

ー以上です。

 

参考文献

・インタビューフォーム『エクロックゲル5%』(最終閲覧日:2020年12月7日)
http://www.kaken.co.jp/wp/wp-content/uploads/medical_products/2020/09/ecclock_202011if.pdf

・添付文書『エクロックゲル5%』(最終閲覧日:2020年12月7日)
http://www.kaken.co.jp/wp/wp-content/uploads/medical_products1/2020/09/ecclock_202011.pdf

・日本皮膚科学会ガイドライン『原発性局所多汗症診療ガイドライン 2015 年改訂版』(最終閲覧日:2020年12月7日)
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/genpatuseikyokusyotaknsyouguideline2015.pdf

・エクロックゲル公式ページ(最終閲覧日:2020年12月7日)
https://ecclock.jp/

 

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ちゅる美

日本エステティック業協会認定エステティシャン/元美容クリニックカウンセラー現裏方/月最低15冊本を読む読書家/投資歴10年以上/ iHerbコード【AMR2134】

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