こんにちは、元美容外科カウンセラーのちゅる美(@tyurumi3)です。
個人が自由にお金を稼ぐ事の出来る資本主義経済である日本は、様々なサービス業にあふれています。その中で特に健康、美容分野においてのサービス業はしばし胡散臭い所が多々あるのではないでしょうか。
怪しいサプリメントや中身が伴わない高額化粧品、またその勧誘の仕方やステマを使った宣伝方法がより胡散臭さを際立たせているように思います。
特に私が美容分野のサービス業に関して心底気をつけて欲しい思うのが美容整形、美容皮膚科といった美容医療です。
なぜなら「医師」、「医療行為」という言葉は効果と安心感を消費者に訴えかけるパワーが秘められており、安心しきって安易に手を出しやすいからです。
また、美容医療は一歩間違えれば身体、精神ともに一生傷が残る場合があり、最悪な場合命にも係わりますから美容分野の中で一番慎重にならないといけないサービスであると私は考えます。
美容クリニックは医療機関であるものの営利主義の強い部分がある為、一部悪質な美容クリニックによって不適切な施術をされ、結果失敗、後悔される方が後を絶ちません。
国民生活センターの情報によると、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)へ寄せられた美容医療の相談件数は2017年1,878件、2018年1,979件、2019年2,035件と報告されています。これは氷山の一角であり、実際にはもっと多いのが現状です。

引用元:独立行政法人国民生活センター
しかし人はいつまでも若く美しくありたいものですから美容医療の助けを借りたいと思うのは普通な事。適切に利用すれば今よりも綺麗でいられることでしょう。
この記事ではあなたの美貌と財産が胡乱で儲け主義のクリニックによって奪われ搾取されない為に、上手に美容医療と付き合っていくヒントを記します。
※全ての美容クリニックを否定しているのではありません。
本記事は美容医療にこれまで400万円以上費やし、美容外科勤務経験がある自身の体験に基づいた主観的な部分が含まれた内容となっています。私は専門家ではない為、到底専門家達との論議は成立するはずがなく、非学者 論に負けずで討論するに値しない者です。だがこの分野に関して消費者としての経験はそれなりに持っており、だからこそ消費者目線における自分の考えは的を得たものがあると自負しています。
美容医療はビジネスである事を忘れない
美容医療と上手に付き合うにあたり改めて知ってほしいのが、美容医療はビジネスであるということ。
美容医療は健康上問題の無い体に医療行為を施すことで見栄えをよくする事が目的ですから本来の医療とはかけ離れた存在であり、医療でありながらもビジネスとしての要素がしっかり含まれています。
それをよく表しているのが宣伝方法です。
一部の美容クリニックでは誇大広告、キャンペーン、モニター募集によって集客する手段を取っているわけで、これは美容院、ネイルサロン、エステサロンと全く同じ手法ですよね。また、宣伝の中にはSNSを巧みに使った集客も含まれており、時には有名人を使ったステルスマーケティングも取られている現状があります。
加えて美容クリニックというのは効果と安全性においてエステや化粧品に勝っている事を大きく掲げており、「エステでの脱毛は効果ありません!」、「医学的根拠がありません!」、「安全性に問題があります!」という具合に「医師による医療行為」を武器としており、美容業界においてヒエラルキーのトップに君臨していると私は考えてます。
これを最前線で人命に関わっている医療と全く同じと捉えるのは筋違いもいいとこ。
ビジネスである以上営利主義のクリニックが存在する事を忘れてはいけません。
営利主義が強過ぎてしまうと、
- 技術がまだ未熟な医師による手術
- 技術不足な新人看護師によるレーザー照射
- 不適切、不要な施術
- 流行りにのった安全性が確立されていない施術
などによって患者側に重体なリスクを残す場合があります。
中には目先だけの処置によって金銭を得たらあとは知らんぷり。将来起こり得るリスクなんて知ったこっちゃないというクリニックさえあります。
利益を上げる為にカウンセリング当日に手術をすすめたり、効果がないからと充填物の量を増やして高額請求したり、傷の回復を促すドリンクをセットで購入させられたりなど、悪質まがいな事をする悪徳美容クリニックは今なお多く存在しています。
このように美容医療がビジネスである以上、お金に目が眩んだ悪質なサービスによって患者がリスクを背負うかもしれないという可能性は無視できないのではないでしょうか。叡智のある医者が言うのだからと全て信じ込むのは美容医療において賢い選択とは言えません。
……しかしこの自由放任によって日本の美容外科・美容医療はほかの医療分野に比べれば安心感のない信頼性の薄い医療になっているといわざるを得ない。
……自由診療ということにより,美容医療は医療の世界にありながら「ビジネス(商い)」 という要素を濃厚に含んだ分野になっているという事実にも注目しなければならない。
……著者が考える美容医療のビジネスとしての特殊性は以下の5つである。
- 商品(サービス)の品質がわかりにくい
- 商品(サービス) の相場価格がわかりにくい
- 当事者(医師と患者) 間で商品(サービス)に関する知識量の差が大きい
- 特に美容外科では一見の客が多い
- 健康被害を生じ得る商品(サービス)である
これらの特徴はビジネスとしての美容医療という業界を大変不透明で危ういものにしている。
引用元:雑誌形成外科「美容医療の問題点」
まとめ
美容医療は「ビジネス」である事を忘れずに。そう捉えるだけで自ずと営業トークに対して防衛反応が働きます。
最適な美容医療のみ受ける。何もしない選択も必要。
とはいえ、人は美しくなりたいもの。その為にはエステ、化粧品よりも効果に期待できる美容医療の力を借りたいものです。
しかし先述したように安易に美容医療を受けるのはリスクを高めるだけですので、勧められるがまま受けるのではなく、自分にとって本当に最適だと考えられる美容医療のみを受ける事が大切です。
では、あなたにとって最適な美容医療とは何でしょうか。
- 有名人が良いって絶賛してるから
- 良い口コミがインスタにアップされているから
- キャンペーンでたまたま安いから
- 医師がおすすめしたから
これだけで安易に決定するのは賢明とは言えません。
六本木境クリニックの境医師はこのようにツイートしていました。
何でも慎重に考えたり踏みとどまるってことが一番大切。
現状維持のため強くさわらず保湿がけた方が安全だと思いますが レーザー、高周波、超音波、レチノールなどは メリットがデメリットを大きく上まる時だけすすめるべきですよね。
引用元:六本木境クリニックTwitter(@roppongi_sakai)
上記は私のツイートに対してのコメントでして、その話題からレーザー、高周波、超音波、レチノールの場合について述べていますが、先生のツイートを遡って読むと、基本的には美容医療においてメリットがデメリットを大きく上回るのであればそれが最適であるという事がうかがえます。
私のような一般人が言うより専門家の意見を記載した方が説得力があると思い記載させていただきました。
あなたの悩みがとある美容施術によって解消され、メリットがデメリットを超えるならそれが最適な美容医療、これに間違いはありません。
当然その点をアドバイスしてくれる真っ当な医師とのカウンセリングが大前提ですが、その施術に関して自分なりに研究する事も大切です。それはただ口コミを読み漁るだけにとどまらず、皮膚の構造、施術の作用機序を理解する事も必要不可欠です。
例えば家をリフォームする際業者に直接話を聞くのに並行して断熱性、資材の材質と性能、工法などネット、書籍等で慎重に調べ上げるのと似ています。
自分で調べもせずカウンセリングだけ聴いて施術に踏み込む事は、リフォーム会社の一方的な話だけ聞いてすぐ契約するのと同じです。
もし相手が営利主義者だった場合、手抜き工事、不適切な工事によって家は欠陥住宅となる可能性もあり、美容医療においては仕上がった顔は「欠陥品」となるかもしれません。
まずカウンセリングをしたら、すぐその場で申し込むのではなく提案された施術に対してしっかり調べ、その上でメリットがデメリットを上回ると判断できるのなら、それがあなたに適した美容医療なのでしょう。
ただ、美容医療は施術しないと生命が危ぶまれるというものではありませんから、判断に迷う際は「何もしない」という選択も大切です。
当然ながらやってみないと分からない部分もありますが、安易に行うより失敗、後悔のリスクは格段に減ります。
リスク回避については「美容整形、美肌治療に失敗して後悔しない為の心得【体験者は語る】」の記事でも詳しく解説していますので合わせて参照ください。
まとめ
一旦冷静に考え、自分にとって一番最適だと思えるものだけを受けるべし。何もしない事も選択肢の一つ。
時に偏見と疑いを盾にする
相手がビジネスである以上、客であるこちらは向こうの言い分に対して時として疑ってみる事も必要になってきます。その際自分の経験からくる偏見も時に役立つ事があります。
美容クリニックへカウンセリング周りをしていると、医師によって考えが全く違い、二極化されている場合がありますよね。
これは、
- 長期的データが取られていない事
- 医学的に効果の示されにくい部分が美容医療にはある事
- 後になって実は体に害だったという事例がある事
から生じていると考えられます。
2021年現時点におけるホットな話題で例えるとHIFU(ハイフ)が良い例じゃないかと。
芸能人、モデル、キャバクラ嬢がこぞってSNSでお勧めしているだけあり本来シワ、弛み、リフトアップを目的とした高密度焦点式超音波のハイフは今やエイジングサインが現れていない若い世代にまで浸透されている施術。
皮膚が引き締まりキュッと小顔になれるという事でガンガンお勧めする医師がいる反面、将来弛みやすくなるからとハイフ否定派の医師も存在しており、しばし消費者側はどちらが正しいのか困惑するものです。
その時の判断として役立つのが自分の持っている偏見と疑いです(言葉は悪いですが)。
下記詳細。
偏見
賛成派、反対派の文言を見かけたら、その1つの文言のみで判断するのではなく「発信しているのが誰なのか」で判断する事がポイントの一つとして挙げられます。
その上で医師の経歴をチェックする事はとても重要と言えます。
なぜなら美容医療というのはメスを握った事のない皮膚科、内科の医師、医大卒業して間もない医師が「明日から美容外科医になりま~す♪」って事が多々あり、チャランポラン(医大卒の方に言うのも失礼ですが)な医師も多くいるからです。
形成外科出身の医師、長年火傷を専門に診てきた医師、症例数の多い医師達と上記の医師、どちらが信頼できますか?
これには多少の偏見がどうしても混ざってしまうのですが、経歴からの判断は患者側からしたら大変重要な安心材料となります。
少し偏見の軸がずれますが、私の場合、
- 若くてノリが良い医師
- 経歴が浅いまま美容外科医になる医師
- SNSで自分をアイドル化する医師
への偏見が大変強く、彼らの意見には一切耳を傾けませんし信用すらしておりません。
偏見は良くないと分かっていますが、実際に上記の医師の対応、技術は散々なものでしたから、そう簡単にこの偏見は拭えないでしょう。
疑い
先述したように美容医療はサービス業ですから営利目的の要素がある程度含んでいます。
ですから意見が二極化しているのなら、
- おすすめ、推奨する、というのはそれを売って利益を得たいからかもしれない
- 否定するのは自分の他の武器を売りたいから、或いは、自分の得意分野を推し勧めたいからかもしれない
と、性格が悪いかもしれませんがそのように疑ってみるのも手でしょう。
美容医療はビジネスですから。
まとめ
時に自分の経験から得た偏見と疑いは盾となる。特に意見が二極化されている場合においてはその意見の意図や裏を読んでみる。
結局決めるのは自分です
結局、もしあなたが美容医療をいくつか経験しているのなら、最終的には自分の身をもって知った経験を軸に最適な美容医療を総合的に判断する事が大切だと思います。
私はこのようにツイートしました。
何事にも所説あり、時にはぶつかり合い、何が正しいのかわからなくなる時がある。そんな時、自分の経験ほど良い判断材料はない。私はこれまで400万以上美容医療に費やしたし美容業界で働いてきた。医師でも看護師でもない凡人だが、それでも積み上げられた経験は一消費者として判断の軸となってる。
— ちゅる美@元美容クリニックカウンセラー (@tyurumi3) January 8, 2021
何事にも所説あり、時にはぶつかり合い、何が正しいのかわからなくなる時がある。そんな時、自分の経験ほど良い判断材料はない。私はこれまで400万以上美容医療に費やしたし美容業界で働いてきた。医師でも看護師でもない凡人だが、それでも積み上げられた経験は一消費者として判断の軸となってる。
私の場合これまで多くの美容医療を経験し、美容外科で働いてきました。
ですから、新しい美容施術メニューが登場しても、「長期的にみると弛み、シワのリスクがありそうだな」、「どうせ効果はせいぜい1年位だからここまで高額出す必要ないな」という具合で分かるようになってきました。
結果、新しい流行にのった施術に飛びつくことなく静観して様子を伺うようになりました。
自分の経験からくる直感を信じてみる事も大切ですね。
まとめ
美容医療は生活において絶対不可欠とは言えない美容サービスを提供するビジネスであり、他の医療とは全く異なります。
故に不透明な部分が多く安易に行うと痛い目を見る事がありますので、
- 自らリサーチと勉強をし、
- 偏見と疑いを持ちつつよく熟考し、
- メリットがデメリットを上回るであろう適切な施術を選択し、
- 全てを医師まかせにしない
ことが、美容医療ビジネスと上手に付き合っていく上で欠かせません。
医者だから安心っというのは美容医療において通用しない事があるのを忘れずに。

最後に一言。
結局、美容医療サービスは生きる上で必要なものではなく、資本主義の贅沢な娯楽の一つに過ぎません。
その娯楽にお金かけて失敗してもその娯楽を選んだのは、あなた自身です。
美容整形、デパコス、ハイブランドファッション等、これらは資本主義の娯楽にすぎない。
世界には今を生きるのに精一杯な人達がおり、求めるものは最低限の衣食住だけで美容なんてものは圏外。
顔にパックしながらパレスチナ問題を調べていたら得もいわれぬ心憂い気持ちになりました。
— ちゅる美@元美容クリニックカウンセラー (@tyurumi3) January 4, 2021
美容整形、デパコス、ハイブランドファッション等、これらは資本主義の娯楽にすぎない。 世界には今を生きるのに精一杯な人達がおり、求めるものは最低限の衣食住だけで美容なんてものは圏外。 顔にパックしながらパレスチナ問題を調べていたら得もいわれぬ心憂い気持ちになりました。
ー今日は以上です。
参考文献
・細川亙「美容医療の現状分析と健全化のための提言」『雑誌形成外科』2019年発行,62巻11号
・独立行政法人「国民生活センター」(最終閲覧日:2021年1月9日)http://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/biyo.html